ため池防災対策の共同研究「おかやまモデル」が「農村振興」に掲載

2021.4.1

EJECが岡山県及び岡山大学と共同で研究に取り組んでいる「リスク評価に基づく今後のため池対策の進め方(おかやまモデル)」が全国農村振興技術連盟「農村振興3月号」に掲載されました。

膨大な数のため池の防災対策を効率的に進めるには

「平成30年7月豪雨」では、小規模なものを含む多くのため池が決壊しました。このため農林水産省では、対策対象となる「防災重点ため池」の再選定を進めました。
さらに「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」が令和2年10月に施行され、今後約10年間で対策が取られることとなりました。
しかしながら膨大な数のため池全てを対策することは出来ないので、限られた期間と予算でいかに合理的で効率よく対策を進めるかが課題となっています。
岡山県ではこれら課題について、岡山県、岡山大学及び当社の三者で、「リスク評価に基づく今後のため池対策の進め方(おかやまモデル)」の検討を行うこととなりました。

おかやまモデルのポイント

この手法は2本柱から成っております。

  1. 対策優先度の指標として被災確率を加味したリスク評価を行う
    従前は、地震や豪雨による被災があった場合として一律に仮定し、想定被害額を対策優先度の指標にしていましたが、被災する確率も加味してリスク(=被災確率×被害額)の大小で対策優先度を判断しようというものです。
    想定被害額が大きく被災確率が非常に小さい施設より、想定被害額が若干少なくても被災確率が高ければ、そのため池の対策優先度を高く評価することになります。
  2. 対策工法の選定にもリスク評価を加味する
    従前は、基準等に則った整備水準にするための一つひとつのため池についてそれぞれ対策工法の候補から最も安価な工法を選択していましたが、県全体としての残存リスクが評価されていませんでした。そこで、対策をした後に県全体の残存リスクがどのくらい減るのかということと対策コストを比較し、もっとも投資効率のよい工法を選択することにしました。

岡山県で検討を行ったこの手法は、限られた期間と予算で効率よく国土強靭化を図っていく手法として、今後多方面で応用されることが期待されます。