水資源機構豊川用水宇連ダムにおいて新しい
三次元地形計測手法(AUV)の説明会を実施

2023.1.24

エイト日本技術開発中部支社では、EJイノベーション技術センターと連携し、2022年12月20日に宇連ダム(愛知県新城市)にて、ダム湖の堆砂量把握を目的とした新しい三次元地形計測手法である「AUV(小型自律式無人潜水機)説明会」(主催:水資源機構豊川用水総合事業部)を行いました。
当日は、水資源機構豊川用水総合事業部ならびに国土交通省中部地方整備局豊橋河川事務所から多数の参加があり、

  1. AUV実機説明
  2. AUVの調査事例紹介
  3. AUV航行状況見学

を行うとともに、質疑応答では、多くの質問意見等が出されるなど成功裏に終えることができました(質疑応答の一部を文末に掲載しています)。

  • AUV実機説明

  • AUV航行状況見学

ダムの堆砂測量手法として国土交通省が推奨しているスワス式音響測深のうち、マルチビーム音響測深は、船舶にマルチビーム音響測深機、動揺センサー、方位センサー等を艤装し、高精度の三次元地形の取得が可能ですが、機材運搬や艤装テストでかなりの人数が必要となりその分費用もかかります。
一方、新技術であるAUVは、インターフェロメトリー測深機、サイドスキャンソナー、各種制御機器がパッケージ化されているため、艤装テストが不要で、重量も40kgと軽く(二人での運搬が可能)、費用的にマルチビーム音響測深より安価となります。また、AUVは、三次元地形の取得だけに留まらず、AUV先端に取り付けた水質センサーにより、ダム湖の三次元的水質データの取得も可能であり、今後、ダム管理の多くのシチュエーションでの活用が期待されます。

AUVとは

Autonomous Underwater Vehicle(自律式無人潜水機)
設定したルート通りに自律航行して様々なデータを取得する水中ロボット

名称
:i3XO ECO Mapper AUV(YSI社)
全長
:2.3m
重量
:40.0kg
潜航速度
:0.5~2.5m/s
潜航深度
:0~100m
稼働時間
:連続6時間(※センサー使用)

センサー部(カバー無)

特徴

  1. ADCP
    • 三次元の位置座標に対応した流向・流速データ
  2. インターフェロメトリ音響測深機(周波数540kHz)
    サイドスキャンソナー(周波数540kHz,1600kHz)
    • 三次元の地形データ
    • 水中音響画像データ
  3. 多項目水質センサー
    • 三次元の位置座標に対応した水質(水温・塩分・電気伝導率・ORP・pH・DO・濁度・クロロフィル・シアノバクテリア・溶存有機物)データ

■質疑応答

  • Q1. AUVは何時間航行可能?
  • A1. 先端にある水質センサーを使用した状態でも連続6時間以上の航行が可能です。
  • Q2. 位置の補正はどうしている?
  • A2. 浮上航行時はGNSSを受けて位置情報を取得し、潜航時はINSなどで逐次自位置を計算し、浮上した時にGNSSとキャリブレーションを行い補正します。
  • Q3. どの程度の距離を潜航したまま航行が可能?
  • A3. これまで3km程度潜航したまま計測した実績があります。
  • Q4. ルートはどのように設定する?
  • A4. ルートはパソコン上でも設定できます。また予め世界測地系などの座標を入れておくことも可能です。
  • Q5. AUVは小型軽量であるため、災害時にでも使えるのでは?
  • A5. 災害時など緊急を要する場合などにも有用であると考えています。AUVは重量が40kgと軽量であるため、スタート地点に投入するだけですぐに計測ができ、水面上に漂流船などの障害物があっても潜航することにより回避できます。

豊川用水とは

愛知県を流れる豊川上流の水を、主水源である宇連ダムをはじめ多くのダムや調整池により確保し渥美半島先端まで水路で送ることにより、それまで水不足に喘いでいたこの地域の発展に大きく貢献してきました。

水資源機構豊川用水総合事業部HP