堤防整備に伴う漁業関連施設の移転

2021.3.28

浸水被害から生活と産業を守る

兵庫県の播磨灘に面する東播海岸は、台風や高潮によって度重なる浸水被害を受けていました。そのため明石西外港地区では明石市街地を守るため、過去最大規模の高潮を想定して設計した、約600mにわたる堤防を整備しました。
この地域は「明石のり」で有名な海苔の産地でもあり、整備区間内には古くから多くの漁業関連施設(海苔加工施設)が建ち並んでいました。堤防の建設に先立ち、それらの漁業関連施設を移転して近隣埋立地に集約させる「水産業強化対策事業」も、併せて実施することになりました。
エイト日本技術開発(EJEC)は、移転を余儀なくされる物件のうち、海岸保全区域占用許可または港湾区域占用許可を受けている海苔加工施設について、物件調査を実施し、補償額を算定しました。

海苔加工に関する特殊な知識が必要となった物件調査業務

移転物件の現地調査では、調査の時期が海苔生産の繁忙期(10月中旬~5月上旬)と重なり、各事業者との直接折衝は現実的ではありませんでした。そのため、漁業協同組合に窓口となっていただき、時間をかけて協議を重ね、事業者ごとの調査方法や調査日程などを決定していきました。
本業務で調査した機械設備は、海苔の一次加工に特化した大型機械で、全自動海苔乾燥機(長16m・重量25t)、洗浄機、熟成機などを連結した、非常に特殊なものでした。調査にあたっては、海苔の加工工程や機械設備に関する専門的な資料等の情報収集を行うだけでなく、全国に数社しかない、同種の特殊機械を扱う専門業者へのヒアリングも実施し、「現有機械の分解・再設置の可否」、「移転期間・作業工程・注意点」などを細かく確認しながら、移転に要する補償金を算出しました。
2021年には、海苔加工施設は近隣埋立地への移転を終え、堤防整備は完了しています。

業務名 東播海岸明石市岬町地区他物件調査等業務
業務内容 堤防整備に伴う海苔加工施設移転に必要な補償金の算出          
期間 2016年9月8日~2017年2月28日
事業主体 国土交通省 近畿地方整備局 姫路河川国道事務所