打音検査システムT.T.Carとシングルアイ工法による上面増厚補強後のRC床版内部の劣化詳細調査

2022.4.9

  • 舗装および床版下面の損傷状況

名古屋国道維持第三出張所管内の床版上面増厚(ましあつ)補強が施された竜宮高架橋(2)上り他2橋において、RC床版内部の劣化状況を把握する床版内部の詳細調査を行い、補修詳細設計を実施しました。
古い基準で設計・施工された橋梁では、その後の交通荷重の増加などに対応して耐久性を高めるため橋梁の床版上面を鋼繊維補強コンクリート等で補強する増厚工法が用いられてきました。しかし、同工法が用いられた橋梁では旧床版と増厚部分の隙間に雨が入り込むなどして早期に最劣化する例が多数報告されています。交通量の多い名四国道である竜宮高架橋でも同様の劣化が確認されていたため詳細な調査を行うことになりました。
調査の結果、舗装面にはくぼみやへこみ(ポットホール)およびその補修部の再劣化、RC床版下面には漏水・遊離石灰を伴う床版ひび割れの大幅な進行が広範囲に確認され、増厚部と既設床版界面の水平はく離、床版の土砂化が懸念されました。調査は限られた夜間交通規制時間内での実施となるため、打音検査システムT.T.Carとシングルアイ工法を併用することで直接目視できない床版内部の水平剥離等の劣化状況を効率的に確認しました。

  • 打音検査システムT.T.Car:面的に劣化範囲が把握できる、舗装面からの非破壊調査
  • シングルアイ工法:床版下面から調査可能で交通規制が不要となり、床版をほとんど傷めずに内部劣化状況を可視化できる微破壊調査

補修設計では、調査で把握された床版内部劣化状況に適した補修方法として、水平剥離箇所を洗浄後に樹脂を注入して確実に再一体化を図る工法を採用しました。

打音検査結果

打音検査システム(T.T.Car)とは

打音測定車T.T.Carに内蔵された六角型回転式打音器(ハンマーヘッド)が、橋面を打音した時の打音データを解析し、浮き・剥離など床版内部の劣化箇所を検出する検査方法です。

打音検査システム(T.T.Car)により明らかになった水平剥離箇所

シングルアイ工法とは

まず床版下面に小径(φ5㎜)の孔(あな)をあけます。その削孔部に赤色樹脂を注入し、樹脂が固化した後に再度同じ位置に削孔(φ9mmで最深1m)し、その孔内へ内視鏡を挿入しながら撮影する工法です。撮影した画像で赤色樹脂が確認できれば、削孔部より外側に樹脂が入り込んでいる部分であるため、その位置に水平剥離、水平ひび割れ等があることが分かります。

シングルアイ工法 調査手順

業務名 令和2年度 第三出張所管内西部橋梁点検業務
場所 名古屋国道維持第三出張所管内
期間 2020年4月1日~2022年3月31日
事業主体 国土交通省 中部地方整備局 名古屋国道事務所