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DX挑戦

「EJEC長期ビジョン2030」では、会社の未来像を「次世代創造企業」とし、2024年度までの第5次中期経営計画を「革新・進化のための基盤整備期間」と位置づけた。その柱の一つであるDX(デジタルトランスフォーメーション)への挑戦に向け、2021年6月よりDX推進室を新設して基幹システム刷新と業務プロセス変革に取り組んだ。
DXプロジェクトでは、①事業環境変化への対応力強化、②多様なリスクへの対応力強化、③生産力の強化、④受注力の強化、⑤間接時間の劇的な削減、⑥コアコンピタンスの強化と創造領域への展開の6つをテーマに掲げた。共通の考え方として、「無駄を排除した一貫したバリューチェーン」、「デジタル力の効果発現によるリアルタイムな情報提供」、「データを有効活用した経営判断の実現」、「生産効率の向上」、「社員をはじめとするステークホルダーとのエンゲージメント向上」を重視した。
これらの実現には、手作業が多く属人化した業務プロセスを変革する必要があり、その基盤となる新システムの導入を2022年8月から開始。キックオフミーティングで「システムを変えても人が変わらなければ意味がない」と、当時の小谷社長から激励を受け、約50名の導入チーム自らが、まずは自身への変革意識を持ち、その上で「社内を変えるのだ」という気持ちを持って献身的に取り組んだ。
新システムは会計・人事など26の業務領域をカバーし、主に15のアプリケーションで構成。外部のDXアドバイザーのリードにより、2030年に向けた長期ビジョンを見据えた選定を行った。必須要件は、常に成長し気付きが得られるアプリケーションであること、第6次中期経営計画で予定されているグループ会社への展開が容易であること、大きな成長を目指す海外事業への展開が容易であること(多言語、多通貨対応)である。加えて、単に安価なものを選ぶのではなく、将来性を重視して選定した。
導入チームには情報システム室のメンバーも含まれていたが、多くはITの専門家ではなく、導入から運用まで苦難の連続だった。現業を継続しながら新たなIT用語を学び、目指す新業務プロセスに適応させる作業に1年10か月を費やした。DXアドバイザーや導入パートナーの支援を受け、短期間で多くのアプリケーションを導入し、既存システムの刷新を果たした。
2024年6月には新システムが本格稼働。長年使用したシステムとの違いにより当初は混乱が生じたが、現場やバックオフィスも徐々に適応し、新システムで業務が回るようになった。最新の情報が常に見える新しい価値や活用法も浸透しつつある。
また、新システム導入に合わせた社内ルールの変更も行われた。例えば、承認ワークフローの簡素化や書類添付の省力化により、年間約13,000時間の業務削減を実現。今後はさらなる価値創出が課題となっている。
第6次中期経営計画では、「人の変革を通じた会社の変革」に取り組み、その実現に向けた新たな仕掛けの準備も進め、歩みを止めずに挑戦を続けている。