1999年トルコ・コジャエリ地震被害調査速報  磯山龍二


2. 地震断層

2.1 イズミットまで

 この地震は延長約150kmにわたる断層の動きによって発生したと言われる。断層の動きは約100kmにわたって地表面に地震断層として現れた。 断層は右横ずれで、地震断層から判断すると最大で約4mずれている。この横ずれ断層には上下成分は比較的少ないようであった(ほとんどない)。図-2.1 にボガジッチ大学による断層のトレース図を示す。

 震央はイズミット湾奥周辺で、東西に破壊が進行していったと考えられている。西方ではギョルジュクで一部陸上に地震断層が現れた。写真-2.1 は、ギョルジュクの海岸に現れた断層である。この断層はすぐに川を横切り、川のすぐ横に立っているビルを破壊している(写真-2.2)。位置関係は図- 2.2を参照されたい。

図-2.1 断層のトレース(http://www.kandilli.koc.net/earthquake.htm

写真-2.1 断層がギョルジュクで海に入る-約4mの右横ずれ

写真-2.2 右ずれ.写真-2.1のすぐ左側。左の建物は断層に貫かれている

写真-2.3 海軍基地の塀のずれ。2段階にわたって約4mずれている

 図-2.2 ギョルジュクにおける断層と周辺の状況


 この断層はこの地点から約200m程度はなれた海軍基地に続いている。海軍基地の塀は写真-2.3に示すように2段階にわたって約4mずれてい る。断層は海軍基地内でも続いているようであるがトレースすることはできなかった。途中で消えるか(海底に雁行しているか)、基地内から海に消えているも のと考えられる(図-2.1からわかるように断層は、湾に対して出っ張っているギョルジュクの一部をかすめている)。

海岸から基地の塀までを断層にそって歩いたが、断層上は建物がねじられるように破壊されていた(写真-2.4)。断層直上以外では被害はやや小さい ようであったがこれも相対的なものである。なお、海軍基地内のアパート等は見た目にはほとんど被害があるように見えない。海軍基地と民地を区分する道路を 通ったが、基地はほぼ無傷、民地はほとんどの建物が倒壊しているという例もあった。おそらく施工および施工管理の問題であろうか。

ギョルジュクから断層は海に入り、イズミット湾の最奥部でふたたび上陸する。上陸後すぐに道路を横切り、2手に分かれて東で向かう。この周辺の断層 の状況を写真-2.5に示す。枝分かれした断層の間は50m弱でこの間はやや沈下していた。ここでも写真-2.6に示すように断層直上の建物は例外なく被 害を受けていた(直上以外では被害は少ない)。

 写真-2.4 断層上の建物。ねじられて崩壊している

写真-2.5 イズミット湾奥に上陸した断層。手前と奥の橋の2箇所でずれている

写真-2.6 イズミット湾奥に上陸した断層。写真-2.5のすぐ東


2.2 サパンジャ湖からアドパザール

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