平成16(2004)新潟県中越地震 現地調査速報(1026日調査分)


はじめに

この地震について現地調査を行ったので,被害の状況について簡単に報告する.

調査の目的,期間,調査者は以下の通りである.

目的
 @地震による地盤災害の個所を確認すること
 A後続調査部隊へ現地情報を伝達すること

日程:平成16年10月25日 :東京からレンタカーで越後湯沢駅 前のホテルに宿泊

平成16年10月26日:早朝に六日町から国道253号線を通って十日町に入り,国道117号線を北上し,魚沼川を渡河して国道17号に到達後,帰路についた)

調査者:日本技術開発 地盤防災部(高橋一紀,伊東広敏,細倉摂央)

調査ルート:こちら.(PDF 1.7MB)

 

調査報告

月夜野〜越後湯沢

関越自動車道下り線が不通だったために国道17号を北上したが,被害はほとんど見られなかった.また,帰路はこの区間の関越自動車道を走ったが 関越自動車下り線の被災箇所及び通行止めとなった原因は確認できなかった.

六日町周辺(国道17号線沿い)

被害は認められなかった.

十日町市(国道253号線沿い,孕石〜笹の沢〜関根地区)

十日町に近づくにつれて,崖崩れなどの道路周辺の斜面の被害が目立つようになったが,道路は通常の通行が可能であった. 六日町側(スキー場付近)でも道路に段差が生じている個所が散見された.八箇峠を越えてからは,道路陥没跡(補修済み),墓石崩壊,崖崩れ,地すべりなどを観察した.
特徴的なこととしては,盛土や急崖が崩壊している一方で,家屋などの建造物が比較的健全にみえることが挙げられる.また,地すべり地帯では,半島状に突き出した泥岩斜面において,層理面をすべり面とする初生的なすべりを生じていることが挙げられる.
写真はこちら

十日町市街地

市内では一部の古いRC造建物の柱・外壁ならびに店舗のガラスや扉などに顕著な被害が見られるが,一般の家屋の全半壊率は低い.
写真はこちら

小千谷市

十日町市街を抜けて信濃川沿いの低地を国道117に沿って北上し始めると次第に道路被害(とくに低盛土区間)が目立つようになる.

(山谷地区)

小千谷市に入ってまもなくの急崖直下を盛土で抜ける区間で,道路路面にクラックが見られた.その付近の信濃川低地の水田一帯の地域では,墳砂や液状化による地盤変位や,それに伴う橋梁,護岸及び水路等の構造物の破損が見られた.特徴的なこととしては,あぜ道や電柱などの人工構造物の付近で地割れが多く墳砂が目立ったことが挙げられる.また,付近の砂利取り場に置かれた砂山には大きなすべりはないものの,その一方で道路盛土などの人工構造物が崩壊していたことが挙げられる.
写真はこちら

(時島地区)

通行止めとされていた魚沼橋を渡河後,信濃川の対岸に巨大な崩壊が認められた.写真手前の山肌の見える山塊は今回の地震で発生した地すべりではなく,古い活動により形成された移動土塊と考えられる.今回の地震では,滑落崖や移動土塊全面の急崖で表層崩壊が生じていた.写真右手の崩壊土砂は川まで達しており,山腹にあった道路は寸断され,埋没していた.
写真はこちら

(塩殿地区)

国道117号線の道路がめちゃめちゃに壊れていた.復旧工事のため現場には近づけなかった.地形図でみると,細い谷を埋めた盛土区間が崩壊したと推定される.一見流動しているようにも見える.川井大橋の背面盛土部分は沈下して段差が生じている.橋梁構造物に損傷があるかは不明.
写真はこちら

(川井地区)

信濃川沿いの沖積低地を低盛土で通過する区間では,路面が沈下して波打っており,片側交互通行となっていたが,周辺に噴砂の跡は見られなかった.またJE飯山線の妙高山トンネル坑口付近の急崖は広い範囲で崩壊していた.
写真はこちら

(内ヶ巻地区)

JR飯山線の内ヶ巻トンネル付近の道路では,道路側方の斜面で崩壊が発生し,崩壊土砂が道路を埋積していたが,車1台が通行可能な状態に復旧されており,車両が通行していた.ときどきパラパラと落石があり,非常に危険な状態であった.帰路の際には雨が降り出したことから,二次災害を防止するために通行を禁じられていた.規制を行っていた方(民間人)によると,雨が降り出したので許可車両や緊急車両以外は車を通すなという指示が上から出ているとのことだった.誰が指示をしているのかは不明.
写真はこちら

川口町

(川岸地区)

段丘崖に設置された道路盛土斜面が崩壊していた. 魚野川にかかる川口橋(道路橋)には目立った損傷は認められなかったが,飯山線の橋脚には損傷が見られた.橋脚下部の損傷が多かった.
写真はこちら

(川口地区)

国道17号のJR飯山線跨線橋では,橋台の背面盛土が沈下していた.
写真はこちら



おわりに

今回の調査は当社の第一陣であり,後続調査部隊への情報提供もかねていた.通行止めの情報も刻一刻変化し,現場に入らないとわからないことも多々あった.橋梁や道路の応急工事や降雨状況によって危険な崖地付近の道路が突然通行止めになることもあった.こうした通行規制の状況に加え,時間的な制約のため,今回の調査では激甚被災地に近づくことはほとんどできなかった.そのため,現地の復旧作業が落ち着いた段階で再び現地調査を実施したい.なお,今回の踏査行においては,われわれの調査チームも二次災害に巻き込まれないために,4輪駆動車の使用,ヘルメット着用はもちろんのこと,事前に非常食を用意し,自家用車電源によるパソコン・携帯電話の利用確保,ガソリンの事前補給に努めた.また,携帯電話が常時使用可能な状況であったため,本社司令部との情報交換を逐次行い,作戦を変更しながら調査を実施した.

 

文責 高橋 一紀
最終更新日 2004112


現地調査トップへ戻る
EJEC 地震防災分野のご紹介に戻る
エイト日本技術開発トップに戻る