下水道の被害


(1)豊頃町

豊頃駅周辺及び十勝川よりの中央新町で、道路埋設管沿いに路面陥没(10〜50cm)、マンホール浮上(10〜140cm)が多発していた。駅周辺の管路は2年前に整備されたとのことである。周辺は湿地が広がり、被害があった区域ももとは湿地であったと考えられる。豊頃町の下水道管の被害はほぼ埋め戻し土が液状化、マンホールの浮上、埋め戻し部の沈下につながったものと考えられる。
古い住宅は基礎部に被害が出ていた。仮設トイレがあちこちにあり、下水機能が全体的に停止している様子であった。

豊頃駅周辺の概略被災位置はこちら
中央新町周辺の概略被災位置はこちら
(ベースマップは国土地理院 1/25000 地形図による)



豊頃町、KiK-net観測点付近。下水道管沿いに路面が陥没、マンホールが浮上。

豊頃駅前。歩道の陥没、マンホール浮上。

下水道管沿いの陥没。中央の住宅は基礎部に歪みが生じている。

仮設トイレ。駅周辺に多数設置されており、全面的に下水がやられている模様。

豊頃駅付近で最大級の浮上1.4m(ただし、路面自体が0.5m程度沈下している)。圧密による圧縮率が5%程度とすると、10m程度の層厚(埋め戻し土)がなければならない。管径は不明であるが管内が土砂で一杯になっても土量の収支は合わないような気がする。管をつたった流出があるかもしれない。


(2)釧路市市民運動公園

釧路市美原団地北側に整備されつつある市民運動公園の歩道でも下水道埋設部路面陥没、マンホール浮上が発生していた。ちょうど管内調査が行われていたのでのぞいて見たがマンホール内に土砂はなかった(深さ2m程度)。


浮上したマンホール(市民運動公園)

マンホールの調査中(市民運動公園)


(3)釧路町桂木1丁目、木場2丁目付近

桂木のスーパー「パスフール」(昔は「ニチイ」だったところ)前の歩道では1993年釧路沖地震、1994年北海道東方沖地震で2回ともマンホールが最大1.4m浮上したが、今回はあまり浮き上がらずに済んだ。木場2丁目の歩道では、マンホールが最大15cm程度が浮き上がっていた。


桂木1丁目・スーパー前歩道のマンホール。今回の地震ではあまり浮き上がらずに済んだが埋め戻し部は沈下している。

木場2丁目のマンホール浮上


(4)釧路町別保原野(新東陽団地)

1993年釧路沖地震後の後分譲された新興住宅地。住宅自体は新しく被害も目立たないが、団地内の道路一面に噴砂が見られた。また、至る所でマンホールが路面から突出していた。道路中央寄りに雨水管、路肩寄りに汚水管という配置になっていたが、雨水マンホールは西側の数本を除き、ほとんど浮いていない。釧路町東陽土地区画整理組合で資料を見せてもらい、理事長にお話を聞いたが、雨水管はヒューム管で径は場所によって多様(大きいもので1200mmくらい)、汚水管は塩ビ管(200VU)とのことである。土被りは変化(下流側が深い)しているが、だいたい汚水が4m、雨水が1.5m〜2m程度である。また、ここはかつて湿原で産業廃棄物などが捨てられていたところを、造成時に部分的に地盤の置き換えを実施(1.5m程度)しているとのこと。道路部は凍上抑制のため約80cm程度砂で置き換えられている。
マンホールの数は数えていないが、数十から百本の単位で被害を受けている。これらは先にも述べたように数本を除いて汚水管である。雨水管が浮き上がったのは西側の未舗装道路部であった。
特徴的なことは、この団地では埋め戻し部がほとんど沈下していないことである。雨水管は土被りから開削であろうが、マンホールばかりでなく、管に沿った路面もほぼ正常に見える。汚水管は4mの土被りであるが、管部分は推進工法であろうか。かなりマンホールが突出している箇所でも埋め戻し(があるとしたらそこの)沈下は見られない。もし、埋め戻し土(約4m)が液状化したとすると、20cm程度の沈下(層厚の5%)になるはずである。また、未舗装の部分では雨水も含めて道路面はほぼ正常である。造成時における地盤改良、下水道の工法について調査する必要がある。
なお、この団地の状況は次の液状化の項でも述べる。

新東陽団地の概略位置はこちら (ベースマップはカシミール3Dによる)


汚水のマンホールの浮上(約90cm)

未舗装部分の雨水マンホール

左側の黄色い枠で囲まれたものが汚水管

別の場所。右側の赤い枠が突出した汚水のマンホール。管があると思われる部分の道路は陥没していないことに注意。

雨水枡に接続する塩ビ管の抜け、それに伴う陥没(液状化した砂が雨水管で流された)

下水管管内洗浄後の管内テレビ検査の様子。

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