築館町の地すべり


宮城県栗原郡築館町下館において、地すべりが発生した。25%程度の斜面の幅20m程度、 長さ80m程度の部分がすべり、すべりの先端は道路下の田にいたり、全体の長さは170m 程度にも及んだ。地すべりは民家をかすめ、ガレージを巻き込んだ。また道路もすべりに 巻き込まれたものと考えられ、下水道管が露出、あるいは田まで運ばれていた。 幸いにも人的な被害はなかった。

(1/25000の地形図及び斜め空中写真からのごく概略の判別によれば、すべり開始点の幅は 約20m、中間のくびれ部で17m、田に広がった最も広い地点で約50m。流れの全長は約170m、 すべり開始点から上の道路まで約80m、下の道路まで約120m。)

地形は東西に伸びる台地の端の斜面である。台地の標高は50mから60m程度。斜面下の田は 標高30m程度。すべりのはじめから下の道路までの距離は約120mである。標高差を30mとして 距離120mで平均勾配は25%となる。台地上は比較的平らで荒地であるが、かつて農地造成が 行われたとのことである。この際、地すべりの箇所は盛土されたとの情報もある。また、 民家の付近には池があったとの話もある。

土質的にはシルト〜砂と考えられるが、非常に多量の水を含んでおり、調査の時点でも足が ずぶずぶと埋まるほどの軟弱さであった。全体に軽石を多量に含んでいる。すべりの上から 見て左側の田に流れ出した土砂は火山灰、あるいは火砕流による堆積物と考えられる。 地質図によると鮮新世(第3紀の終わりから第4紀にかけて)の時代に鬼首から流れてきた ものが築館付近に堆積しており、おそらくこの地層であろうと思われる。軽石は細かいもの から2cm、あるいはさらに大きいものまで多様である。

我々が調査した時点では、土砂が投入され全体にならされていた (おそらく台風が迫っていることから応急的な措置と考えられる)。

直後の状況については築館町のホームページ に掲載されているが、民家のあたりではすべりは深くえぐれ、かなりの水が流れている。

現時点でこのメカニズムを考察するのは危険であるが、あえて言えば、この軽石を多量に含む 火山灰(あるいは火砕流)の地層が地震により液状化、一気に上の土砂を載せて流動したものと 考えられる。現地の状況から水の供給は十分すぎるほどあったことは間違いない。すべりの 上から見て左の田の流出している軽石を多量に含んだ土砂がまさに液状化したものと考えられる。





すべりの全景 この写真からすべりの全長は約170m、幅は民家のある位置で約20mと推測される。
(写真:PPG空撮(有)ミヤギエンジニアリング)

概略の位置


国土地理院 1/25000 地形図


エンジン付きパラグライダーによる空中写真

PPG空撮。5月27日午前9時撮影。(有)ミヤギエンジニアリング





地震前の写真。


5月29日午前 現地調査


すべり全景。下から。
 
黄色い土嚢は下の道路に沿って並べられている。すべりの部分は、おそらく土砂が投入されならされている。足が沈むことはないがふかふか。

すべりの右端(上から見て)。ビニールシートが最上部。
 
最上部。

すべりの左端(上から見て)。
 
最上部から。竹やぶの部分は狭く、くびれている。この幅は17m程度か。

すべりの開始のすぐ下。相当の水が湧き出し流れている。
 
下の民家。ガレージが巻き込まれている。

南側から。中央がすべり。おそらく、斜面下部の竹やぶの竹の一部は直立している」。

田んぼに流れ出た土砂。左側(上から見て)。火山灰ないしは火砕流と考えられる多量の軽石を含む。

田んぼに流出した土砂。軽石の多いことが分かる。
 
すべり開始点直下。やはり軽石が多いことがわかる。

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